オススメの本 独ソ戦 独ソ戦の性格と終戦の残酷

この世において「地獄」でない戦争は存在しないのかもしれませんが「独ソ戦」(1941-1945)は
軍事的な合理性をすら失い「世界観戦争」(絶滅戦争)にまで変質して行ったという点において
最高度に「地獄」的な戦争でした。
それが読了していちばんの感想であり本書の核心と申し上げてよいかと思います。
著者は新史料(あとで述べます)に基づき軍事的な「経緯」のみならず独ソ戦の「性格」を正確に論じています。
一般向けの新書として白眉と思います。
上記の著者の結論は
「終章」において詳述されます。
戦争をその性格上
①通常戦争
②収奪戦争
③世界観戦争(絶滅戦争)
の3つに分類し
独ソ戦の時間的な各段階において
①、②、③がどのような
相互関係にあったのかを
「模式図」で示したものが
掲載されています(p.221)。
数学の集合論や論理学で多用される
「ヴェン図」(ベン図)を
イメージしていただけると幸いです。
要するに3つのマル(円)の相互関係です。
ちなみにジョン・ヴェン(1834-1923)は
英国の数学者・哲学者で
いわゆる「ヴェン図」を導入しました。

独ソ戦
①通常戦争、②収奪戦争、③世界観戦争
(絶滅戦争)の3つが並行して始まり
最終的には①と②が③に完全に包含されて
しまったことが模式図から読み取れます。
そして「通常戦争」が「絶対戦争」に
変質して行っていたことが示されています。

個人的には父祖から耳で聴いた
戦争の地獄と言えばたとえば
ノモンハン事変(1939)
ガダルカナル島撤退(1943)
インパール作戦(1944)
・レイテ戦(1944ー45)
硫黄島の戦い(1945)
‥などを連想します。このように
旧日本軍の「地獄」は
例えば、敵の圧倒的火力の前に
無力感から精神的失調をきたしたり
あるいは、兵站(補給)の不足・欠損による
飢餓や餓死のイメージが強いのが
特徴と言えるかもしれません。

これらに対して独ソ戦
ヒトラー(1989-1945)に代表される
「劣等人種」(ウンターメンシュ)を絶滅し
「東方」にドイツ民族(アーリア人)の
「生存圏」(レーベンスラウム)を獲得する
‥というナチス・ドイツ側の世界観と
スターリン(1878-1953)に代表される
「不可侵条約」を一方的に破棄した
ファシスト」の侵略を
ソ連邦の諸国民が撃退して
共産主義イデオロギーの優越を示した
‥というソ連側の世界観の激突でした。
この「世界観の激突」を通奏低音として
本書は書かれていると思います。

独ソ戦の「性格」の話が長くなりましたが
軍事的な経緯やディーテイルについても
本書は「実証的に」詳述されています。
「実証的に」と強調しましたのは
これまで独ソ戦について記述された
一般向けの本の中には
誤った史料に基づいて書かれたものが
少なくなかったからです。
さらに
1989年に東欧諸国が解体し
1991年にソ連が崩壊してから
多くの新史料が見つかりましたが
それらが記述に反映されることなく
標語的に申し上げれば
「1970年代の水準で止まっている」
記述が(特に日本における)
一般向けの本では多かったことは
否定できないようです。

本書によりますと例えば
独ソ戦に直接の関係はありませんが
ヘルマン・ラウシュニングの
『永遠のヒトラー』(天声出版 1968)は
ヒトラー語録・ヒトラーとの対話
というふれこみでしたが現在では
偽書(つまり捏造)であることが
判明しています。

あるいはまた
フランス人を連想させるペンネーム
パウル・カレル」
で多くの戦記物を書いたドイツ人
パウルカール・シュミット
(1911-1997)につきましては
2005年
ドイツの歴史家ヴィクベルト・ベンツが
パウル・カレルの伝記を上梓し
体系的な批判を行いました。
カレルの基本的な主張は
第二次世界大戦の惨禍に対して
ドイツが負うべき責任はなく
国防軍は劣勢にもかかわらず
勇敢かつ巧妙に戦った」(はじめに ⅷ)
でした。つまり現在の視点からみると
明らかにまちがっていたので
歴史修正主義」(同)
です。その結果
2019年現在、母国ドイツにおいて
パウル・カレルの著作は
「すべて絶版とされている」(はじめに ⅹ)
と著者は指摘しています。
カレルの捏造(実際には存在しなかった
事象を記述すること)について
具体的な記述が「はじめに ⅸ」にあります。

新約聖書使徒行伝」第9章18節
の表現を借りるならば
「目からうろこのようなものが落ち」る
思いを読了後にしましたのは
上記のラウシュニングやカレルに対する
現在の世界標準の評価だけではありません。
いくつか順不同で挙げてみましょう。

ドイツ国防軍
ナチスによる犯罪・戦争犯罪
(SSによるジェノサイドなど)
に関連して決して
無謬(むびゅう)ではなかった。

・そもそも独ソ戦
ヒトラーの「世界観」によって
のみ起こされたのではなく
ドイツ国防軍も軍事的な観点から
「対ソ戦やむなし」と考えていた。

・ドイツ陸軍総司令部(OKH)が
立案した対ソ作戦は
1)敵を過小評価し
2)我が方の兵站能力を無視した
ずさんな計画だった。

・ドイツを含む中央ヨーロッパ
鉄道が標準軌であるのに対し
ロシアの鉄道は広軌であるから
ドイツ軍にとっては線路の
レールの幅を変える工事をしないと
鉄道による輸送はままならなかった。
(ナポレオンの侵攻を教訓に
二度と侵略されないように
ロシアはわざと鉄道の軌道の幅を
ヨーロッパと違うものにした
とする説を聞いたことがあります)

・「電撃戦」(ブリッツクリーク)
というコトバはそもそも
宣伝・啓蒙当局あるいは
ジャーナリズムが使い始めたもので
軍事用語ではなかった。

・「ドクトリン」という
軍事用語があり重要な概念である。

・史上最大の戦車戦と言えば
「クルスク会戦」(1943)
(の中の「プロホロフカ」の戦い)
という定説があったが
ソ連崩壊・冷戦終結後の新史料による
研究が進んだ結果
独ソ戦の初期において既に
大規模な戦車戦が展開されていた
ことが明らかにされた。
参加した戦車数が
クルスク(プロホロフカ)を上回る
戦車戦があったことが判明している。
ひとつの例は「センノの戦い」である。

‥上記のように私にとりまして
「目からうろこのようなもの」を
挙げて行くときりがないくらいです。

振り返ってみれば
・1989年11月 ベルリンの壁崩壊
それと並行あるいは続発する
東欧諸国の解体
・1989年12月 マルタ会談
(冷戦終結を明記)
・1990年10月 ドイツ統一
・1991年12月 ソ連邦崩壊
という歴史的事象を私は
リアルタイムで見聞きしていましたが
その結果
多くの新史料が公開され
独ソ戦を含む第二次世界大戦に関する
研究が飛躍的かつ画期的に進んだ
という事実を今、実感しています。

ヒトラーの伝記(あるいは第三帝国史)
ひとつとっても
ソ連崩壊以前に
アラン・バロック(1914-2004)
ウィリアム・シャイラ―(1904-1993)
ヴェルナー・マーザー(1922-2007)
ヨアフェム・フェスト(1926-2006)
ジョン・トーランド(1912-2004)
‥などの著者たちによる
特色ある書物が出版されていました。
それらに加え
ソ連崩壊後の新史料を踏まえた
イアン・カーショー氏(1943-)の大著
ヒトラー(上):1889-1936 傲慢』
白水社 2016)(原著 1998)
ヒトラー(下):1936 -1945 天罰』
白水社 2016)(原著 2000)
が出版されいわばヒトラー伝の
「決定版」となった観があります。
上下二段組で本文に限定しても
(上)が 611ページ
(下)が 870ページあります
(重さはどちらも軽く1キロを超えます)。
とりあえず一度目を通しましたが
なにしろ大著ゆえに細部まで
読みこなすのは時間が必要です。
独ソ戦についても的確な記述が
多々あります(特に下巻)。

カーショーの大著に比べると
逆に一冊の「新書」という
限定された舞台で独ソ戦を記述する
という行為は別種の困難さが伴なう
であろうことは容易に分かります。
材料を取捨選択し
文章の論理的構造を組み立て
かつ読者が(研究者ではなく)
(私を含む)一般人を対象とするという
配慮をする必要があります。
従って本書は
一冊の新書で独ソ戦をコンパクトに
しかも本質的に記述した労作
ということができると思います。

付録の「文献解題」は
次に読むべき本の指針となりますし
「略称、および軍事用語について」
独ソ戦関連年表」は
よくまとまっていて使いやすいです。

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例えば第二次ミンスク合意が得られなかった理由はメディアだけだと分かりにくかったが、実際にはロシアの軍がドンバス地域に置かれた状況でウクライナ住民投票は行えないというもの
主に軍事面が多いですが分かりやすいです
 
 
 

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